2022.6.23
会社を作って37年目。多くの良きお客さまに恵まれ、助けられてきた。恩返しは一生懸命働いてお客様の力になること。そう思って夢中で走ってきた37年間であった。この間良き思い出がたくさんできた。仲間意識を共有してくれるお客様もたくさんできた。一緒に遊ぶこともしばしば。濾過の理論、現場事情等々たくさん学ぶことができた。生きた仕事をする時、現場を知らないことには話にならない。学ぶことに一生懸命の時期、ストレスは全く感じることはなかった。現場では未知のことが多く、当時は問題も山積していた。
私には私を育ててくれた7人の大恩人がいる。特許を取得できたのもこれらの大先輩のおかげだ。今では全ての方々は退任され悠々自適の生活。でも今でも親交を続けさせていただいている。大先輩との仕事は、未知の問題解決に苦労した記憶しかない。だが、酒席でも仕事の話はほとんどしない放任主義の先輩たち。現場で泣けてくることも多々あった。だがストレスを感じたことはない。諦めずに現場を観察していると問題解決の糸口が見えてくる。「問題」とは自然に逆らったシステムが構築されている時に発生することが多いと思う。
追う仕事は楽しい。追われる仕事は苦痛を伴う。ストレスも多くなる。そんな時、ある先輩から包丁研ぎを勧められた。釣魚を自分で捌き血抜き熟成、調理する。日を重ねるごとに良い包丁が欲しくなってくる。本焼き包丁は1本十万円以上もする。でも・・・買ってしまった。いくら良い包丁でもいずれ切れなくなる。研ぎに出すか己で研ぐかだ。後者を選んだ。練習用にホームセンターで安い砥石と包丁を2、3本買ってきた。研ぎの種類や方法を学びつつ、ひたすら研ぎの練習。研ぎは神経を集中させないと怪我をする。集中力を極限まで高め、形を崩さないように注意を払って研ぐと、あら不思議全てのストレスも研ぎ汁に混ざって流れ出ていく。良きアドヴァイスをいただいたものだ。ストレスがなくなると他人にさえ優しくなれる。
柳、出刃、牛刀等々・・砥石も實行の高価な砥石を揃えた。切れる包丁が手元にあると料理が楽しくなる。海が荒れて魚が無時・・・肉料理にも手を染めるようになった。皆が「うまい!」と笑顔で応えてくれる時、なぜか嬉しい自分がそこにいる。